5月から2ケ月間、九博で開催された「至上の印象派展・ビュールレコレクション」
ドイツ生まれのビュールレが、40歳代より収集した作品64点が公開されていた。
ゴーギャン・ドラクロア・モネ・ルノアール・セザンヌ・ピカソ他著名な画家の作品ばかり。
恐らく数十億円になるのではないか。
先に東京上野の博物館で公開があっていて、TVで詳しく紹介がなされていた。
会場はたくさんの絵画ファンで賑わっていたがその中でもひときわ御客が押し寄せているコーナーがあった。
ルノアールの「可愛いイレーヌ」である。
両親はユダヤ系の裕福な銀行家。
当時、富裕層の間では肖像画を飾るのが流行っていたらしく、イレーヌの母の肖像画も残っているとのこと。
この絵は、8歳になる娘の肖像画を依頼された画家が、印象派画家として今まさに売出し中のルノアールを紹介し描かせたものだ。
当時はまだまだ写実主義が主流であったため、このイレーヌも顔部分は肌のぬくもりを感じとれる程にまで繊細に描かれているのだが、周囲のドレスや手はいかにも印象派的に仕上がっている。
又、一般的に肖像画はモデルに正面を向かせた構図が多いのだが、なぜだかイレーヌはほぼ横向きに描きあげられている。
出来上がった作品を見た依頼主は、「未完成だ!」と言って激怒し、その後一度も居間に飾ろうとはしなかったそうだ。
しかし現代の絵画愛好家の中では、突出して優れた肖像画と言われている。
それにしても、8歳とは思えない大人びた美しさに、ただただ見入ってしまうのだ。 ROKOKOⅡ